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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

8/29号

『特集:始まったカウントダウン・2020東京五輪』
  1. 日本時間8月22日午前のリオ五輪の閉会式。鶴の刺繍の入った着物姿の小池東京都知事がIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長から五輪旗を受け取った。この瞬間から2020年東京五輪がカウントダウンに入った。
  2. リオ五輪で獲得したメダルは金12個、銀8個、銅が21個の合計41個。入賞総数88を含めて過去最高となった。金が目標に2個及ばず、銀が6個減となったなど、全てが思惑通りにはいかなかったものの、日本選手の活躍はその内容を含めほぼ満点だった。
  3. 今回の日本躍進には日本政府の“本気度”を示す積極姿勢があったのも大きな要因になっている。昨年10月にスポーツ庁が発足、2020年の東京五輪に向け、公金を導入してメダル獲得を後押しする方向に舵を切った。
  4. 今年度のスポーツ予算324億円のうちから、五輪・パラリンピックの選手強化のために87億円、医学方面からメダル有望種目を重点支援する事業にも35億円が投じられている。結果、代表選手は日常的に合宿して医学サポートを受けながら鍛錬することが可能になった。そして遠征に使える資金も潤沢になった。
  5. 今回のリオ五輪は地球の裏側での開催になった。競技によっては時差調整を兼ねた海外合宿や試合を経て現地に入り、リオ現地にも8億円をかけて日本選手の最終調整をサポートする拠点が設置された。さらに味の素の協力を得て、選手村から徒歩3分の場所に24時間体制の日本食拠点「G・ロードステーション」を設置した。
  6. 時間が経つにつれ、今回の日本の躍進には、“必要資金がふんだんに投入された”ことが分かり始めている。東京五輪では「金メダル第三位を目指す」目標が設定されている。リオ五輪の金メダル第3位は中国で26個。金メダル倍増は至難。ただ今回のリオ五輪の好成績から現状324億円の年間予算を1000億円にするとの案も出始めている。
  7. 今回のリオ五輪では柔道、レスリング、体操、水泳の「御四家」の他、バトミントン、卓球、陸上男子短距離の躍進が目立った。少々早すぎるかもしれないが、東京五輪後の日本のスポーツ界を考え、押せ押せの雰囲気の今こそ、持続的にメダリストを育てる環境整備に取り組まなければならないだろう。要は「資金を投入する」時期である。
  8. 今回のリオ五輪、連日熱戦が繰り広げられ、結果も出た結果、昼夜逆の生活、というより昼間の高校野球も相まって、この暑き折、睡眠不足の日々であった。だが世界の舞台で活躍する日本選手を見るのは“(元気の出る)刺激剤”だったのは間違いない。
  9. (4年に1度の)お祭りの後のダルイ雰囲気になっている。ご無沙汰していたMLB(米大リーグ野球)中継が新鮮な日々である。しかし2020年東京五輪がカウントダウンに入った。費用の拡大が俎上に上がる昨今だが、末代まで残る日本のDNAを飛躍的に伸長させるための費用は積極的に使う時期と思う。それは無駄遣いではない。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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