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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

12/05号

『特集:54年振りの11月の雪 -38豪雪の記憶-』
  1. 11月24日、関東甲信越地方の広い範囲で雪が降った。東京都心では11月として54年振りの初雪と、1875年(明治8年)の観測開始以来初の積雪を観測した。気象庁は、日の出直前の午前6時15分頃に降雪を確認、午前11時過ぎに地面の半分以上が白くなり「積雪状態と確認した」と発表した。但し、積雪は1㌢未満であると。
  2. 雪に弱い国際都市・東京。メディアは前日から雪だ、雪だと大騒ぎ。確かに降るには降ったが、雪国育ちの人間にとって、あんなの雪じゃない。いうところの“名ばかりのちょぼちょぼ”状態。但し今回の“54年振り”という点については伏線があった。
  3. 前回の11月の初雪は昭和37年(1962年)。その翌年が昭和38年(1963年)。その年に「38(さんぱち)豪雪」と言われる大雪が降った。生まれ故郷・富山県では、185㌢超えとの発表だが、吹き溜まりでは間違いなく2メートルを超えていた。小中高は当然ながら臨時休校で、連日の屋根の雪下ろし。二階から階段を作って出入りしていた。
  4. 昭和37年と平成28年の相似点。「夏の高校野球で栃木・作新学院が優勝」「プロ野球では東映フライヤーズ(=日本ハムファイターズの前身)の優勝」。そして特に注目すべきは東京五輪を控えている点。1964年の東京五輪と2020年の東京五輪。開催会場でゴタゴタしている点も酷似している。ということで、「来るべき2017年は寒い冬=豪雪になる」との噂が出ているが、あながち否定はできないようである。
  5. そして54年振りの11月の初雪が降った24日、今年の大晦日放送の第67回紅白歌合戦の出場歌手が発表されている。偶然にしては出来過ぎ。で今週は、「連想ゲーム」で、紅白歌合戦の歴史をザッと振り返ってみたい。
  6. 紅白歌合戦の始まりは、終戦結直後の1945年・大晦日の「紅白音楽試合」というラジオ番組。当初は「紅白音楽合戦」の番組名で放送する予定だったが、GHQが「敗戦国がバトルとは何事か」との判断で、仕方なく「試合」に変更した。今は昔の話である。
  7. TV放送が定着するのは1960年代に入ってからと思う。「紅白を見た次の日から連日、雪下ろしばっかりだった」との強烈な記憶があるから、38豪雪時には実家にも白黒のTV受像機があったのだと思う。そして1964年の東京五輪はカラーで見た記憶があるから、そのあたりから日本のTV時代が定着したのだろう。
  8. 考えてみれば昭和37年とは戦後17年、日本の高度成長時代前夜で、NHK紅白歌合戦が国民的行事と言われ、視聴率が70~80%の時代であった。紅白離れが言われるようになるのは、一家に1台から1人に1人の時代になっていく90年代からだったと思う。
  9. もはやそんな驚異的な視聴率は伝説。IT時代。全世代が満足する番組などもはや不可能。国営放送たるもの視聴率を気にせず(=若者層におもねることなく)、「大晦日の歌合戦+除夜の鐘」の“日本人の心セット”番組を、粛々と流されたらどうだろうか。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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