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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

1/23号

『特集:ジリジリ追いつめられる愛煙家&たばこ関連企業』
  1. 冬晴れの寒い週末の午後、余りにスカンと晴れた空に誘われ、日用品買い出しに、チャリを駆って豊洲に出かけた。少年野球の試合が三面とれるどデカいグラウンド。おおやってる、とタバコを吸いながら眺めていた。と、35歳あたりの若いパパが血相を変えて飛んできた。何か用??「子供が野球やってるんですよ、タバコやめて下さい!!!」
  2. 狭い部屋ならともかく、隣に誰もいない、デカイ空間の中でタバコ吸っちゃいかんのか??平生は温和な(!?)自分もさすがにムッときた。で、聞いた。ここは「禁煙エリアなの??」。その答。「じゃないけど、子供が野球してたら禁煙は常識でしょ!!」受動喫煙対策がことのほか、神経質までにうるさく、そして神経質になることが近代人とする昨今の風潮である。逆切れして思う。んじゃ、もうタバコ売るの止めろや!
  3. 1月17日、英たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は、米2位のレイノルズ・アメリカンと経営統合することで合意したと発表した。BATは未保有のレイノルズ株を494億㌦(約5兆6千億円)で取得し、上場企業で世界首位の米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)に対抗する。
  4. 余り馴染がない企業などで少々説明すると、BATの主力商品はラッキーストライク、ケント、ダンヒル。一方、レイノルズの主力商品はキャメルなどで、15年には米3位のロリラードを買収している。上記主力商品は日本でも有名でその名は通っている。
  5. こうした中で、日本たばこ産業(JT)はと言えば、日本国内に期待せず、アフリカを今後の有望市場とみて、2011年にスーダンのたばこ会社を350億円で、また2016年には500億円を投じてエチオピアのたばこ専売会社の株式40%を取得している。
  6. 最近の業界の特色商品としては、灰と煙が出ない加熱式たばこ。ただこの加熱式たばこは、アイコスという銘柄の商品を販売する業界第一位のフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の市場独占。結果として業界は、次世代の“電子たばこ”に注力し始めているが、そんな“もどき”が従来の愛煙家に通用するのか??
  7. 1月12日、飲食店などの業界団体が、厚生労働省が検討している受動喫煙防止対策の強化案に対する緊急集会を開催している。マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、モスバーガー、スターバックス、タリーズなどの大手各社は、ほぼ全店禁煙。
  8. 反対意見が多いのは当然ながら個人経営の喫茶店やスナック。個人経営では喫煙室を設置する改装資金を捻出できなかったり、設置場所を確保できなかったりと障害は多い。禁煙にすることで客離れに追い込まれるという不安も多い。
  9. いずれにしても2020年の東京五輪までには「結論=強制案」が実施される気配である。元神奈川県知事で現参院議員の「禁煙できない国が先進国と言えない」と頑強に主張する、神経質で憎々しげな顔が目に浮かぶ。そうですね、結局はあんたが正しいですよ!
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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