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7/18号

『特集:両者痛み分け!? -閉会中審査開催の中で-』
  1. ① 7月10日、学校法人「加計学園」の、愛媛県今治市への獣医学部新設などを巡る閉会中審査が、衆参両院で開かれた。まことに失礼ながら、官邸と中央官庁のガチンコ勝負というドラマ仕立てなので、興味深く聞かして(観させて)もらった。
  2. 前川喜平前文科省事務次官は「官邸は動いた」、官邸は「指示はあり得ぬ」と、両者全く譲らず、平行線のまま。安倍首相がG20出席等の欧州歴訪中で、一方の主役不在のまま、いつ尽きるとも分からない論戦が続いた。
  3. だが最終的には、参院で参考人として出席した加戸守行前愛媛県知事の、獣医学部の新設は地元の悲願だったとの説明が最も真に迫っていた。同氏は旧文部省出身で、「岩盤規制で我慢させられてきた。歪められた行政が正されたというのが正しい」。
  4. 官僚は他省庁の領域に入ると何もできず、これまでの岩盤と言われる規制を切り崩したのは官邸主導の強力(ごうりき)だったのは間違いない。ただ官邸への権力集中は規制改革などプラスの面もあるが、バランスが求められる。安倍1強&お友達内閣に、緩みがあったのは否めない。誰がみても加計孝太郎理事長とは“なぁなぁのお友達感覚”あり、「最初に加計ありき」のプロセスがあったのもまた否めない。
  5. 一方、(この際なので)前川さんを巡る環境を考えてみたい。日本は「官僚自治王国」と言われてきた。日本の内政は突き詰めれば“予算獲得競争”である。どんな政治家も自分の関係者に予算を回したい。霞が関の官僚は、こうした外部圧力から自らを防御すべく長年かけて考えた仕掛けが3つある、と言われてきた。
  6. 第1は大蔵省は無敵のスーパー官庁で、盾つくとまずいという幻想。外局には国税庁があり、その税務調査権を政治家は恐れるという幻想である。第2は族議員の養成。専門知識を持つ議員の「毒」で、他の議員の「毒」を消す。第3は優秀な人材の継続的リクルート。これは退職後の天下りと民間平均以上の生涯給与を保証する。
  7. この長年の暗黙の社会契約が、2014年の内閣人事局設置によって事実上完全に反故にされた。結局は前川さんの怒りや執念は、文科省という官僚自治王国が旧時代的な存続を許されず、新しいスキームに呑み込まれ、自分の代で崩壊しつつあることに我慢
  8. 自分の2歳上に、同じ中学・高校→東大法学部→厚生事務次官に上り詰めた方がいる。中学時代の陸上部(同氏は走り高跳び&短距離)主将で、何とはなしに前川さんと体格や面影(眼鏡も同じ)が似ている。中央官庁の事務次官に上り詰めるのは並大抵ではない。今頃何をしておられるかな? TV中継中、ぼんやりそんなことも考えていた。
  9. 最終的には喧嘩両成敗あたりが落としどころか。慢心・安倍さんの政治命脈も尽き始めた。念願の東京五輪まで持つか否か。今回の国会中継、最後には空しくなった。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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