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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

7/24号

『特集:悲劇のヒーローを賛美できるか』
  1. 日本の夏の風物詩、甲子園球場での夏の全国高校野球。今年が99回目。恒例「熱闘甲子園」も間近になってきた。関東地方は19日に梅雨明け宣言。だが異常気象が続きそうな気配が漂う中で、甲子園という晴れ舞台に出る前の熾烈な予選が真っ盛りである。
  2. 東京都内では都内の予選ばかりでなく、近県の神奈川・埼玉・千葉等の予選がライブで観ることができる。4回戦あたりまではコールド・ゲームも多数。鍛錬の違いは最初から明白。敗けるべきチームはどうあがいても敗ける。7戦全勝or8戦全勝しないと甲子園行きキップは勝ち取れない。今も昔も、“明日のない”熾烈な世界ではある。
  3. 今年の西東京大会の選手宣誓は、“怪童”の名をほしいままにしてきた早実・清宮幸太郎クン。怪童ももはや18歳。プロか、大学進学か。100本超の本塁打量産は確かに秀逸。だが素質は認めるにしても、プロとしては、余りに幼く、隙だらけで実力不足の感。
  4. で、そのセリフ。「私たちは野球を愛しています」「野球の神様に愛されるよう、全力で戦うことを誓います」。6月22日に急逝した小林麻央さん(享年34)の最後の言葉に倣った“らしからぬor大人びた”表現。記者会見では、「今まで以上に暴れて、早実の大会にしたい」と宣言。だが西東京には日大三高という強敵もいて、予選突破も簡単ではない。野球の神様に愛されて、「清宮ファースト」となるか否か。
  5. いずれにしても、日本全国で将来有望な球児が競う夏の高校野球は、予選から続く甲子園の本大会を通してプロ球団にとっては“宝の山”。また球児にとっても、晴れ舞台・甲子園でのパフォーマンスがプロへの門戸であるのも十分承知している。
  6. 今や“日本の宝”と言われるようになった花巻東高校出身・現日ハムの大谷翔平投手も、類稀な素質を持つ高校球児ではあった。そして二刀流を主張し、打者としても、投手としても、日本ばかりでなく世界でも超一流になると宣言をして、ここまできた。だが、野球の神様はそうした“(二兎を追う無謀で贅沢な)夢”をかなえるかどうか。
  7. 打者と投手では使う筋肉が根本的に違う。トレーニング方法も全く異なる。確かに高校生のような未完で柔軟な肉体なら多少は融通が効こう。だが肉体は徐々に衰える。男の肉体は25歳がピークと言われる。どちらかに決める時期である。なんでこんな簡単な理屈、周囲の人間が判断し、方向を決めてやらないのだろう。
  8. 一時は時価10年・200億超と言われた至宝が壊れ始めてる。メジャーどころか、日本のプロでも通用しなくなる。「あの人は今」等のTV番組に出る大谷なんか見たくない。壊れ始めていると言えば、19年振りの日本人横綱・稀勢の里もまた同じ。左肩の筋肉にくっきりと断裂面が見える。筋が切れている。横綱の使命というなら、できるだけ長い間綱を締めるのが筋。「休むも仕事」。根本から修理しないと使い物にならなくなる。
  9. 人間に超人はいない。人の肉体に限界あり。悲劇のヒーローなんてヒーローじゃない。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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