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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

7/31号

『特集:いつまで続く、加計・水掛け論議』
  1. 摂氏38度湿度30%と、摂氏30度湿度80%では、さてどちらが暑いか?体質にも因ろうが、後者が余程耐え難い。7月24~25日はそんな異常気象が顕著な日だった。
  2. 両日の、学校法人「加計学園」による国家戦略特区を使った獣医学部新設を巡る衆参予算委員会の閉会中審査は、「言った」「言わない」「記憶にない」「記録がない」の水掛け論に終始した。この一連の論議は、“歴史に残る”ような空しい凡戦だった。
  3. 国営放送NHKは両日、独占LIVE中継を行った。「何も出ない 」のは解ってはいても、とりあえずは観とく(聴いとく)かのスタンスだったが、予想通り途中から疲れる内容に終始した。両日合計10時間にわたって、手を変え品を変え、同じことの繰り返し。
  4. この時期は夏の高校野球の代表決勝戦の時期でもある。24日は千葉県代表を決める、木更津総合高校VS習志野高校の決勝戦だった。木更津総合は最近実力を増した新進気鋭の高校で、習志野は夏の全国大会で過去2回の優勝経験のある伝統校。
  5. このような対決はよくある話だが、なぜ特に注目していたかと言えば、習志野のブラスバンドが全国トップクラスの超優秀チームだからである。210人の大編成から繰り出される演奏は、まさにド迫力。これを聴きたいがために球場に足を運ぶファンも多数。
  6. 千葉の地元局もNHK・Eテレも中継していたが、習志野の演奏は今年も“これぞ日本のナツッ!!の醍醐味を十分味あわせてくれた。高校レベルを超える演奏技術と共に、若い力が迸る渾身のエネルギー発散の演奏は、一度聴いたら病み付きになる。
  7. 国会中継のよどんだ空気に疲れると、“裏の”高校野球中継に切り替える。そんな作業を繰り返しながら、思った。“偉い大人たちは一体何を繰り返しているのだ!?”。国家戦略特区とは、岩盤の規制の緩和という名目で、食物・農業・医療・教育などの市民生活を守るために作り上げたルールを外し、全国に広げていこうとする趣旨である。
  8. 最終決定をする諮問会議の議長は首相なのだから、首相の意向が働いて何ら不思議はない。加計孝太郎理事長が首相の親友であり、多少の優遇をするのは致し方なく、その脇の甘さは問われても致し方ない。だが収賄でもない限り大きな問題にはならない。しかしメディアは、ここを先途と必要以上に取り上げ、安倍1強体制を血祭りにしている。
  9. 現状の世界は、北朝鮮の核ミサイルが我が国に照準を合わせる中、裏から北朝鮮を支えようとする中国、背に腹は代えられぬとその中国に近寄るEU、実利だけに生きるトランプ政権の中国寄りのスタンスで、結局は北朝鮮を核保有国として国際社会に入れようとしている。また中国の南シナ海と東シナ海の狼藉も見て見ぬ振り。

    かくして日本が世界の孤児となる危機が迫る。もりかけだ、豊洲だ、防衛大臣不在だと右往左往している時なのか。野党も雲集霧散、全く頼りにならない。迷える大人たち、一度習志野高校の怒涛の演奏を聴いてみたらどうだろう。ガツンと目が覚めますよ。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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