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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

8/28号

『特集:野球が廃る!? -来年100回を迎える夏の高校野球-』
  1. 日本の夏の風物詩、高校野球の熱闘甲子園。今年は99回目。従って来年は100回目の記念大会ということになる。だが今年は、目玉の清宮幸太郎の早実が予選決勝で敗退、折からの不安定な天候もあって、注目度が低かった(!?)と思う。
  2. 自分の場合、ゴルフ・松山英樹が、日本時間4日から14日の2週間、ブリジストン招待→全米プロで熾烈な優勝争いをしたから、早朝からのTV観戦で疲れ果て、高校野球を見る余裕も体力もなかったのが実情だった。
  3. しかし、さすがに準決勝あたりから注目せざるを得なくなった。平成の怪物と言われた横浜高・松坂大輔投手を育てた渡辺元智前監督をして「こりゃ(打者として)怪物だわ!」と言わしめた広島・広陵高校の中村奨成捕手の活躍があったからである。28打数19安打の打率6割7分9厘、6本塁打、6二塁打、17打点、43塁打等など.. 劇画でもこうはいくまいと思われる記録づくめの大活躍。
  4. 大阪PL学園の清原和博が5本塁打を放った85年の67回大会では、「甲子園は清原のためにあるのか!」と言わしめたが、「今年の夏の甲子園は広陵・中村奨成のもの」となった。100回目直前の大会の記録に残る活躍は、後世に残る伝説となるに違いない。
  5. 今年の観客は10年連続で80万人を突破。しかし熱狂甲子園はこのまま続いていくのかどうか。日本高野連に拠ると、「やまびこ打線」の徳島・池田高校や、桑田・清原のKKコンビの大阪PL学園の活躍に沸いた1980年代は80万人で推移。90年には過去最高の92万9千人を記録する。
  6. だが、サッカーJリーグが開幕した93年以降は徐々に減少、96年には64万5千人まで減少する。再び人気が上昇するのは2000年以降。早実・斉藤祐樹と駒大苫小牧・田中将大両投手の決勝での投げ合い(06年)などがあり、08年から今年まで10年連続で80万人を超えた。統計が残る58年以降、初めてのことである。
  7. だが一方で厳しい現実も待ち受ける。日本の6歳から14歳の人口が2011年から2016年の間に6%減少。同じ年齢層の競技人口は全日本野球協会の推計に拠ると、約63万8千人から約49万2000人と激減している。
  8. 原因はスポーツが多様化したことによる、野球をする機会の減少。そして野球をできるスペースの減少である。確かに狭いスペースで楽しめるスポーツは数えたらキリがない。野球じゃなきゃダメだと言う論理は成り立たない。
  9. 100回を記念して深紅の大優勝旗がリメークされる。最近、松山英樹を使った一面広告のキャッチ「目指すのは、今まで以上の未来」が鮮烈で評判になっている。果たして野球に未来があるのか?野球が廃る!?確かに団塊の世代がいての野球だったのかもしれない。これも時代の流か…受け止めざるを得ないのかもしれない、残念ながら。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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