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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

10/02号

『特集:度胸千両・小池旋風再び』
  1. 固定電話経由の情勢調査に初めて応じた。通常なら「忙しいんで!」と断るところだが、調査会社の会社名を確認できないまま、試しにやってみっか、となった。コンピュータ化された番号タッチ型。若い女性の冷めた声の矢継ぎ早の質問が続く。約5分。9月25日月曜日午前。考えてみれば、それが激動の日々(!?)のゴングだった。
  2. 元々9月25日は、「9月28日召集の国会冒頭で衆院を解散する」との安倍首相の午後6時の会見が予定されていた。その約2時間半前、突然のタイミングで小池百合子都知事は都庁で記者会見をし、新党「希望の党」を立ち上げ、代表に就任することを表明した。イメージ動画も用意されていた。最初から仕組まれたシナリオだった。
  3. 安倍首相はその会見で、「もりかけ問題のうやむや化」を図る“自己都合解散”ではなく、「消費増税の使途変更、北朝鮮への対応」で信を問うのだと、“大義”を強調した。しかし2019年10月予定の消費税増税に関して2年前の今から信を問う必要などない。あきらかに「もりかけ問題からの脱皮」が最大の目的の解散に違いなかった。
  4. 結局、9月25日午後の一連の攻防で、安倍首相と小池都知事の対決色があらわになった。両人は強いリーダーシップで同志をまとめ、国政や都庁で「1強」と呼ばれる地位を築き上げた。仮に衆院選で自民VS希望の対決となれば、指導力や手腕が“議席数”という形でリアルに試される。
  5. 安倍首相は「国難突破」との時代がかった表現をしてはいるが、さしもの北朝鮮では、石油高騰・電力不足が明確になり、米機の動きを探るためのレーダーを作動させる電力がないとの噂も漏れ始めている。結果、ロシアが仲介に入り始めた。予断は許さないが、世界からの兵糧攻めに北朝鮮が悲鳴を上げ始めている。 勝負あった!?の感はある。
  6. 結局、何のための解散なのか。折しも、主義主張も明確でない、職業政治家の寄せ集めの集団であることが明確になった民進党・解党の報も大々的に流れ、希望の党がブラックホールになってしまった。「国会議員」という“おいしい”地位を確保せんがため、主義主張など全く関係なく、“流れに乗ろう”とする議員が右往左往する。政局は都議会選挙と同様の“度胸千両・小池劇場”の再来の流れになり始めている。
  7. マスコミのここを先途の報道も度が過ぎている。TV各局の、ニュース関連番組、ワイドショー、バラィティ番組等は、政治評論家のオンパレードで、口に泡して“小池劇場”を煽りまくる。小池都知事は知事を辞任して、衆院に立候補か…日本の政治がリセットされるのか…北朝鮮問題など、どこを吹く風の、“お祭り”の雰囲気である。
  8. 衆院議員選挙には概算で600億円かかるとされる。これに東京都知事選挙が重なれば、一体どのくらいの血税が注ぎ込まれることになるのか。完全に劇画ゲーム化する国政選挙。 ここ1ヶ月は“お祭り”騒動が続いていく。日本はどこに行くのだろう..
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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