• ホーム
  • コラム
  • 10/30号 特集:シャボン玉、屋根まで飛んだ。そして壊れて消える…

コラム

コラム一覧へ

■今週の市場展望

著者:青柳孝直

10/30号

『特集:シャボン玉、屋根まで飛んだ。そして壊れて消える…』
  1. この10月、東京は15日間連続の雨。127年振り(!?)の珍事だそうである。台風21号が接近・上陸し、秋雨前線を刺激し、日本列島全体に大量の雨を降らせた。そんな中での22日の第48回衆院選だった。
  2. 近所の酒屋(タバコ屋)のおじさん、本欄でも登場した“佃の神輿が命”のおじさん。自警消防団の団長もしてるらしい。選挙当日、偶然出会った。「選挙行った??」って聞いた。「落下傘どころじゃネェよ」「川が溢れてる!!」「今晩は寝ずの見張りだわ」。風光明媚の馴染みの隅田川遊歩道が完全に水没、膝下10㌢の水位になっていた…
  3. 現状所の選挙区・東京2区は焦点がぼけ、投票しようにも投票する相手が見えない状態。午前からの激しい雨に、どうせ落下傘候補の世界、行くのを止めようかと何度も思った。が、午後になって雨も小降りになったので、スーパー買い物ついでにでかけた。“白票投票”にした。いい加減な投票よりはよほどましな正しい選択と思った。
  4. 8時の投票締め切りと同時に自民300超えのテロップが出た。希望の党の惨敗だった。小池代表が口にしてしまった「排除」は古いムラ社会の制裁のように受け止められた。安保や憲法の改正関する“踏み絵”も、歴史のかなたの強権的な手法を思い起こさせ、予想以上に厳しい審判となった。
  5. 予想外の健闘となった立憲民主党は「判官びいき」の波に乗った。筋を通し切ったことも共感を呼んだ。では予想外の大勝となった自民はどうかと言えば、マスコミで連呼されるように「(野党の)オウンゴール」に救われた。与党への支持がある割には内閣支持率が低迷するという珍現象は、結局は野党揃ってのドタバタ大混乱が原因だった。
  6. 基本的に言えば、美辞麗句を並び立てる新政策に実現性がないまま日本国民は「安倍晋三という人物」&「その言い様」に飽きたように見える。怖いのは、そうした「安倍1強態勢維持」を相場材料にする金融市場である。円安は進み、株価は15日の連騰となった。「アベノミクス再来か!?」というノリである。
  7. 昨今頻繁に言われ始めている「10年周期の危機説」をご存じだろうか?1987年に世界的な株価大暴落の「ブラックマンデー」が起き、1997年にはアジア危機が起こり、2007年にはリーマン・ショックが起きている。「バブル崩壊→危機対応としての金融緩和→新たなバブルの生成と崩壊」の繰り返しである。キチンと10年サイクルである。
  8. 1929年以降の大恐慌から脱出するのに主要国が平均10年かかかったことも「10年周期」の所以。2017年も「(リーマンから)10年で脱出」を裏付けるように、経済の見通しは先進国を中心に上振れ気味である。だからこそ同時に、危機を封じてきた金融緩和の終わりも米欧で始まっている。「終わりの始まり」の様相である。
  9. 希望の党は結局はバブルだった。「安倍1強の再来」も何かバブルっぽい。さて…
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


書籍紹介

コラム一覧へ

ページの先頭へ戻る