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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

11/13号

『特集:浸透し、日常化する世界のスポーツ』
  1. 11月7日。立冬。10月ギリギリまで襲来した巨大台風で実感はなかったが、ラジオの深夜放送で、槇原敬之「冬がはじまるよ」のメロディが流れた時、そうかまた冬が来るのか…我に返った。寒さより2017年の野球シーズン終了を肌で感じる昨今である。
  2. 95年の野茂、01年のイチロー、そして03年の松井のMLB移籍からは格段に、MLB(米大リーグ)にのめり込んでいる。09年の松井のワールドシリーズMVP(最高殊勲選手賞)獲得で、日本人選手の平成30年間のピークを打った感があるが、自分のMLBへの関心は不変である。MLBは、30年という時間を経過、日本に完全に浸透した。
  3. スポーツは筋書きのないドラマが展開されるから面白い。だが世界のスポーツを見る機会はそうは多くなかった。結果が分かったニュースを見る程度。だが現在は違う。野球ばかりでなく、ゴルフ、サッカー、テニスを始めとして、アメラグ、バスケ、スキー、フィギュア・スケート等、あるとあらゆるスポーツがライブで楽しめる。
  4. 17年のMLBのポストシズーンは中身が濃かった。理由は簡単である。米東海岸・田中のヤンキース、西海岸・前田&ダルビッシュのドジャースが勝ち上がってきたからである。このパターンは初めてだった。結果、東が午前8時頃から試合開始、そして西が11時あたりからという、“過密”スケジュールになった。嬉しい悲鳴を上げた。
  5. そしてこの時期は、日本シリーズがらみの試合に重なる。結果、午前8時から、午後10時頃まで約14時間超、野球オンリーの世界になることもあった。BGMとして流しておくだけだが、17年10月は“ワールド・オブ・ザ野球”と相成った。
  6. 今年のワールドシリーズは、ヒューストン・アストロズと、ロザンゼルス・ドジャースの、がっぷり四つの獰猛な打撃戦になった。150㌔超のスピードボールを、事もなげにピンポン玉のようにスタンドに放り込む。力勝負の対決は見応えがあった。
  7. 「頑張ろう神戸」「頑張ろう東北」と同じで、「(大洪水から立ち直ろう)ヒューストン・ストロング」が合言葉となり、球団創設以来56年で初めてアストロズがワルード・チャンピオンとなった。本拠地・ミニッツメイドスタジアムの沸騰振りは異常だった。
  8. ただダルビッシュも前田も、往時の日本の大エースの面影は薄かった。絶対的な力不足は明白だった。“滑るボール”は言い訳にできない。日ハムの大谷を筆頭に、日本球界からMLB目指す選手が目立つが、ボロボロになった平成の怪物・松坂大輔、盥回しにされた青木宣親の例を見るまでもなく、MLBのレベルは高く、生き残りは楽ではない。
  9. 11月に入って、多少の虚脱感がある。連日の野球放送がピタッと止まったからである。確かにゴルフや大相撲や、フィギュアスケート、バスケ、アメラグ、そして平昌冬季五輪等が待っている。だが、今年の野球の世界のような重厚な熱気の再来はどうだろうか。つくづく思う。スポーツとは偉大だ、世界が狭くなった、凄い時代になったと。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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