■今週の市場展望
著者:青柳孝直
1/22号
『特集:「パナソニックは何の会社か?」-AI産業革命本格始動-』
- 平成30年1月11日。ソニーAIBOが発売。マスコミも大々的に取り上げ、予想以上の人気。予約完売で、量販店でもその“お姿“をお見せにはならない。マスコミが注目するのは、人間がAIBOを制御するのでなく、AIBOが人間を制御しようとする点。
- 嫌だったら反応しない(?!)という、本末転倒の仕草が人気を増幅しているようだ。何とかしてAIBOを手に入れたい。が、価格は198,000円(税別)、年間20,000円のサポート料とちと高価。そして我儘な自分にAIBOが寄りつかないかもしれぬ(!?)
- 1月9日から始まった世界最大の家電見本市(CES=コンシューマ・エロクトロニクス・ショー)。1967年から米ラスベガスで毎年1月に開催される世界最大のもの。当初は家電製品が中心だったが、現在ではネット関連や自動車などが中心になっている。日本の電機メーカーも出展ブースを構えていたが最近は縮小気味。
- 今回のCESで話題となったのがパナソニック(旧松下電器産業)のブースに、同社の代名詞だった家電の出展がなかったことである。創業100周年を記念し、ブースは昨年の1.6倍。だが並んだのは車の運転席や車両電池と、お門違い(!?)の商品ばかり。
- もともとパナソニックは車載のエアコンやラジオを手掛け、最近は電気自動車(EV)向け電池など、自動車部品の単品で存在感を増していた。つまりパナソニックは従来の家電の松下ではない。で、飛んだ質問は、「パナソニックは一体何の会社なのか?」
- 1月8日、CESに先駆けて世界のトヨタは、全長4.8メートルのEV・E-Paletteコンセプト車(イーパレット・コンセプト)を発表した。同車はエリア限定で完全自動運転できる「レベル4」の技術を搭載、移動型の小売店・物品運搬車・通勤のシェアリングカーになったりする、いわゆる万能車。同社の謳い文句は「これまでの車やトラックの概念を超え、消費者に新たなモビリティサービスの価値を提供する」
- こうした一連の激動の中、「今後5~20年で世界の石油重要が頭打ち」とする石油ピーク論が台頭している。ピーク論の歴史は古い。その根拠は「原油がいずれ枯渇する」という供給面の制約だった。ところが約10年前のカナダのオイルサンド、米国のシェールガスが本格的に商用化され、地球には未使用のエネルギーが大量にあることが判明、「供給ピーク論」の勢いを失っていた。
- 00年代以降、環境対策でエコカー導入や排ガス対策が本格化し、そしてEVシフトの波が一気に押し寄せている。とは言っても、大型トラックのEV化は難しく、航空機のジェット燃料は必要だ。また石油化学製品に需要は多い。だが現状の見込みよりは数倍速く、2030年あたりでピークアウトと見るのが妥当な線だろうか。
- かくして、東京五輪を格好のターゲットに、世界中が「AI産業革命」に走り出した。もう大きな流れは止めようがない。すざまじい勢いで世の中が変わる….
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。
連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
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書籍紹介
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ISBN:978-4-86280-068-8
定価:1,365円
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ISBN:4-89346-913-4
定価:2,520円