コラム

コラム一覧へ

■今週の市場展望

著者:青柳孝直

2/05号

『特集:「公益財団法人」とは何か』
  1. 公益財団法人とは一体何か。法的には「公益法人認定法の認定を受けた一般社団法人や一般財団法人をいう」(公益法人認定法2条3号)。ちなみに財団法人とは「法人格を付与された財団であり、ある特定の個人や企業などの法人から拠出された財産で設立され、これによる主要な事業原資として運営する法人」。社団法人とは「一定の目的を持った集団(社団)で、権利義務の主体となる法人の資格(法人格)を認められたもの」
  2. そして“公益法人の公益目的”の定義としては「学術、技芸、慈善その他の公益に関する(別表23種の事業各号に掲げる)種類の事業であり、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」とし、「収益事業課税ではあるものの、公益目的事業として認定された事業は収益事業から除外される」としている。
  3. 法的な文言はいつの時代も難解である。公益法人日本相撲協会の法的立場、そして相撲協会がなぜ公益法人を目指したかを知るために、あえて法的な部分から始めてみたが、結論的には、国技と言う名の基に「有利な税制を享受する」ことが最大目標にも見える。
  4. 昨年末から国技・大相撲を巡るトラブルが続き、マスコミの格好のネタとなっている。暴力事件、セクハラ事件、無免許運転事故等、多方面にわたる騒動は、特にワイドショーのテーマとなり、折しも期限の到来した理事&理事長選挙にも注目が集まった。
  5. 相撲は、日本に根付いた神事仕様の伝統文化ではある。何のかのと言っても元祖農業国たる日本の土=土俵を中心にした伝統的な格技であり、「まげ+褌+さがり」のいでたちは日本特有のものである。しかし現在も断然たる国技なのか、と問われれば??がつく。何故なら国技と言う名の基に、従来の排他的で旧態然とした「組織・ルール・組織内の暗黙の習慣」が、近代の慣習に馴染まなくなっているからである。
  6. ここにきて「相撲の世界だから許せる」「相撲界の常識は一般世界では非常識」との行動・考え方が表面化した。端的に言えば、「理事長は相撲界で活躍した者でなければならない」とする不文律を改めれば済むことが多い。横綱審議委員会や評議員会といった第三者からなる有識団体は存在するが、絶対的な強制力がなく、本格機能していない。
  7. ここ20年、日本の国技・相撲はモンゴル勢に占拠されている。日本の相撲独特の情緒が崩れ始めたのは横綱朝青龍時代からではなかったか。ただでさえ「非常識な相撲界の常識」が更に助長されたような気がする。旭天鵬(現友綱親方)のような柔軟な姿勢の人物がいるにはいるが、従来の日本人の根本的な考え方と乖離している場合が多い。
  8. 相変わらず途中休場を続ける横綱連を尻目に、平幕の栃ノ心が優勝した。平幕の優勝は6年振り、名門春日野部屋からは46年振りの快挙。「ありがとう、うれしい」を連発する(モンゴル以外の)外人力士に、何かホッとさせられている。2020年の東京五輪を控え、外部から招聘した理事長下の公益法人日本相撲協会の新たな出発を期待したい。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


書籍紹介

コラム一覧へ

ページの先頭へ戻る