• ホーム
  • コラム
  • 2/19号 特集:小学校の制服8万円也-何やら漂うバブルの匂い-

コラム

コラム一覧へ

■今週の市場展望

著者:青柳孝直

2/19号

『特集:小学校の制服8万円也-何やら漂うバブルの匂い-』
  1. 西銀座・数寄屋橋交差点から旧電通通り(外堀通り)新橋方面に右歩道100メートルほど行って、最初の角を右折すると、コリドー街→JRガード→帝国ホテルにつながる通りになる。そしてガードの手前約70メートルに、半円形の連続窓・奇妙におしゃれな門扉など、これって何屋さん??と思える建物に出会う。それが泰明小学校である。
  2. 当然ながら銀座界隈に正式住居を構える者などほぼゼロだから、校区以外から積極的に子供を受け入れざるを得ない。あくまで噂だが、いわゆるお金持ちの保護者が多いとされている。考えるまでもなく、わざわざ銀座の小学校に入れる意味なんかない。
  3. その中央区立泰明小学校が突然マスコミの俎上に上がった。同小学校の「アルマーニ制服」、詳しく言えば「一式8万円也のイタリア高級ブランドの標準服」問題。国会の予算委員会にまで取り上げられる問題となった。小学生は体の成長が早い。いわゆる育ちざかり・伸び盛りで、多少は大きめにするとしても、ダブダブの制服では様にならない。つまりは最低2~3回の買い替えや、着替え用のシャツ等も必要である。
  4. 銀座は日本の最大・最上の繁華街。そんな街に小学校があるのも不自然だが、明治時代の遺産的位置付け。1878年(明治11年)創立のブランド校。とは言え、通学する学童はブランド品を着なきゃならないとする理由にはならない。学校側では「服育」という新語を使っているが、詭弁だろう。最先端というなら、制服なんかやめてしまえばいい。
  5. ついでに笑い話。ご存じないかもしれないが、銀座には中学校もある。中央区立銀座中学校。1984年(昭和59年)統廃合により開校。朝日新聞社の裏側(=中央区銀座8丁目)にあり、現在では越境中心の中学校。だが銀座のクラブ街の黒服連中の間では“格好の”ブランドとなっている。「オレ、銀中(ぎんちゅう)出身」って具合に胸を張る(!?)。
  6. 来年からは新しい年号となる。一時は持て囃された平成生まれも、もはや中堅の年齢に達する。その平成生まれに頻繁に聞かれた質問が「日本のバブルってどんなだった?」。代表的な回答が「1万円札をヒラヒラかざしてもタクシーが素通りした」。確かに深夜の酔客にはそうした人物がいたかもしれないが、まずは誇張した神話の類。
  7. 結局バブルの雰囲気とは、カネ余り→株上昇から起こる様々な珍事象。考えてみれば「小学生がアルマーニの制服」という事象もバブルなのかもしれない。もう少し突っ込んで言わせてもらえば、いかに文化的遺産としての価値があろうとも、小さな庭仕様とはいえ運動場も備えた、それなりのスペースを保有する小学校である。高層の商用ビルを建てて運用すれば、相当額の利益が上がるはず。場所が銀座ですよ、ザ・ギ・ン・ザ。
  8. その小学校を卒業した子供はどうなる?「服育」で、世界に通用するブランドを着こなす子供に仕上げようというわけ?誠にトンチンカンな話。問題は中身でしょ、中身!!仕向ける学校も、認める親も完全にずれている。結局、「だからバブルなのだ!」。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


書籍紹介

コラム一覧へ

ページの先頭へ戻る