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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

2/13号

『特集:国内外での政局混迷尻目に、粛々と進む「プロ化」の流れ』
  1. TBSラジオのニュース番組「Dayキャッチ」の水曜日、聴視者参加の川柳コーナーがあり、毎週楽しみに聞いている。ご存じのように川柳とは、5・7・5の17文字の短詩で、生活や世態を風刺の立場から描写、いわゆる「クスッ」とした笑いを狙うものである。で、同番組の1月の大ヒット作は「気がかりは トランプ小池 稀勢の里」。
  2. 稀勢の里は念願の横綱になり“気がかり”の中から消えていったが、「トランプ大統領」と「小池都知事」が起こす“騒動”はまさにこれからが本番。2月10日の(ゴルフ絡み)の日米首脳会談や、石原慎太郎元都知事の都議会への参考人招致でこれからどうなるのか、全く見えてこない。双方共に劇場型パターンなので予断を許さない。
  3. そうした世界的な政局混迷の中で、注目度が意外に低かったのは「松山英樹のフェニックス・オープン連覇」。同大会は1932年から始まった伝統的な大会で、準メジャーの位置付け。連覇となれば日本初は勿論、世界的で歴史的な偉業である。トランプ&小池騒動なかりせば、もう少し大々的に取り上げられた偉業ではあった。
  4. NHKBS1の日曜日・月曜日早朝のライブ中継放送を息を潜めて眺めていた。4打差の3位から出て1イーグル・3バーディの66と伸ばした松山は、昨年と同様のプレーオフを、これまた昨年と全く同様に4ホール目17番ホールで決着させ今季2勝目、賞金120万㌦(約1億3千万円)を獲得した。優勝した時点で堂々たる賞金王である。
  5. もはや「線でなく点で狙う」松山のゴルフは異次元。TVでは見えないが現場で実際に見たら、300ヤードを楽々超える飛距離は勿論、“寄せ”でも、とんでもない高い球でピンをデッドに狙う世界になっているのだろう。メジャー制覇の期待が益々高まる。
  6. “松山賛歌”になってしまったが、衆知のように松山はプロゴルファーである。ではスポーツの世界のプロとは一体どのようなものなのか。プロの代名詞だった野球やサッカーのプロとは、競技には専念するものの、球団から給料をもらう形式だった。
  7. だが最近では、体操の内村航平や水泳の萩野公介のように今までに考えられなかった種目での「プロ化」宣言が相次いでいる。端的に言えば「何ら保証のない裸一貫」の世界だが、法的に言えば「プロ=個人事業主になる」ということである。
  8. テニスやゴルフのような高額な賞金や出場料が望めない五輪競技の場合、スポンサー契約が収入の柱となる。この点から言えば、JOC(日本オリンピック協会)が一括管理してマーケティング活動に活用していた肖像権は12年前に返還している。
  9. 一般社会でも40歳定年制が言われる昨今、「引退後は会社に残って社業に専念」というスタイルはもはや時代遅れ。結局は「限りある選手人生をかけリスクある挑戦をする」のも理に適っている。ヤンキースの田中マー君が年間20億超の収入を得る時代。百万人に一人の稀有な素材が、名実ともに世界に向けチャレンジする時代と言える。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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