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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

3/27号

『特集:平成才女・女傑考』
  1. 都議会では豊洲市場移転問題に関する百条委員会開催、一方国会では森友学園問題に関して証人喚問があり、世の中がザワついている。最近の特徴として女性が絡む点である。現代は男女平等、女性の機会均等という大原則があるが、これほどまでに女性が表舞台や裏舞台で活躍or暗躍する時期があったろうか。気が付けば平成という時代も約30年。ここで(後世まで語られると思われる)平成の才女・女傑について考えてみたい。
  2. 表舞台で活躍が際立つのは小池百合子東京都知事だろう。その存在を決定的にするのは、1988年、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト=通称WBS」の初代メインキャスターになった時からだった。当時は経済専門番組、特に相場情報が極端に少なかった時代であり、携帯電話等の通信機器も貧弱で、金融関係者ならずともその番組を見ざるを得なかった。1990年には日本女性放送者懇談会賞を受賞する。
  3. その後は名声を駆って1992年の参院選挙に日本新党から出馬し当選。以降は1993年兵庫2区から衆院総選挙に出馬・当選→1994年新進党結党に参加→1997年自由党結党に参加→2000年の保守党結党に参加→2002年自由民主党に入党。以降は環境大臣、内閣府特命大臣、防衛大臣等を歴任する華々しい活躍で、巷間ではしぶとい政界の渡り鳥と称される。そのキャリアを活かして2016年に東京都知事に当選。
  4. 最終的には日本初の女性首相を目論む小池都知事の活躍を表舞台とすれば、裏舞台で際立っているのがアッキーの愛称で親しまれている安倍晋三首相の昭恵夫人。歴代の首相は概ね3つのタイプ分類される。第一が良妻賢母型。地元の後援会や家庭をしっかり守り、3歩下がって夫に従う。「妻であり母である」ことを徹底する。日本の明治大正昭和の日本のファーストレディの基本形。代表例が故橋本龍太郎首相の久美子夫人。
  5. 第二は夫も顔負けの政治家型。代表例が、故三木武夫首相の睦子夫人。改憲に反対する「9条の会」を立ち上げるなどリベラルな政治活動展開した。菅直人元首相の伸子夫人もこのタイプ。政治好きで演説も上手いと評判だった。
  6. 第三が平成になって出現した自由奔放型。政治家の“妻の枠”を超え「私らしさ」を追求し、夫も妻の行動を放任する。元タカラジェンヌの鳩山由紀夫元首相の幸夫人がさきがけ。人目を引くパフォーマンスで、再三「風変りなファーストレディ」と報じられた。昭恵夫人もこの型に分類される。「家庭内野党」を宣言し、政権と真っ向反対する主張や活動を展開する。名誉職招致も拒まず、居酒屋も開店したりする。
  7. 「国政に携わる者を送り出すためには、自分の身を捨てても無我夢中でやる」。故岸信介首相の長女で、政界のゴッドマザーと呼ばれる安倍首相の母・洋子氏の言葉である。何が正しくて、何が悪いかは、結局は歴史が証明してくれるだろう。自由奔放な首相夫人など、昭和の時代には考えられなかった。「咲くサクラ、昭和は遠くなりにけり…」
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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