• ホーム
  • コラム
  • 11/27号 特集:急激にガタつく角界。一気に3横綱引退の危機

コラム

コラム一覧へ

■今週の市場展望

著者:青柳孝直

11/27号

『特集:急激にガタつく角界。一気に3横綱引退の危機』
  1. 年6回の大相撲本場所。この2カ月に1回の大相撲は、やはり人気のコンテンツである。今年の本場所は90日間が全て「満員御礼」という、21年振りの盛況となった。言葉を変えれば、その人気は少々異常だった。こうした異常人気を支えたのが「相撲女子」の急増。ブームの尖兵は“気まぐれな”若い女性という、いつものパターンではあった。
  2. 直径4.55メートル(15尺)の円形の土俵で褌ひとつの裸の格闘技、それが相撲である。頭蓋骨の激しいぶつかりで、“ゴツン”という生々しい音を立てて始まる壮絶な世界。そして問題なのは6.7メートル四方の土台が34~60㌢の盛り土状態になっている点である。0.2㌧×2=0.4㌧の肉塊が折り重なって落下する。怪我をしない方がおかしい。
  3. 今年の収めの九州場所は最初から何とはなしに雰囲気が怪しかった。横綱鶴竜の4場所連続の全休、両膝の全面崩壊で全休のサーカス相撲・業師宇良、全休明けの横綱稀勢の里への不安、大関陥落・照ノ富士の回復不安など、不安感満載の場所開けだった。
  4. 案の定、稀勢の里も照ノ富士も途中休場、横綱日馬富士も初日2日の連敗の後、休場となった。4横綱が揃っての皆勤は平成4年九州場所以来全くない。つまりは「横綱4人は尋常ではない」「何かが起きる」とする“不思議なジンクス”は生きていた。
  5. そして、突如スポーツ紙にスッパ抜かれたのが「日馬富士の貴ノ岩暴行事件」だった。「ビール瓶で強打した」「貴ノ岩・頭蓋骨骨折」等々、興味半分を生業とするワイドショーやニュース関連番組に、格好の“ネタ”を提供することになった。
  6. プロ相撲の大相撲は、今も昔も番付によって絶対的な上下関係が制度化されたクラシックな世界である。下位力士は上位力士には逆らえない。権威を暴力として誇示されても泣き寝入りするしかない。一方で、上位力士が下位力士に厳しい稽古をつける「かわいがり」がなければ下位力士が成長しないのもまた確かだ。
  7. 今から3年くらい前だろうか、飲み屋街のエレベーターで横綱日馬富士に出会った。TV画面では小柄に見える日馬富士も、実際は筋肉隆々、小山のように見えた。酔った勢いで頑張って!!と声をかけたら、意外にも「ハイッ!」と大きな声で返事してくれた。横綱という最高の地位にいても、一般的には30歳過ぎの“あんちゃん”である。
  8. そんな“あんちゃん”に、神がかりの「崇高な精神」を求めても無理なのではないか。今回の事件の背景には、貴ノ岩の師匠・貴乃花親方の存在が取り沙汰されている。どうやら「大相撲改革」を目論んでいるらしい。大相撲という長い歴史の中で生成され、積み上げてられてきたものや、常識や習慣や制度には、一見不合理に映ったとしても何らかの意味を持つ重要なものが多く存在する。何でもかでも早急に変えることはできない。
  9. 今回の事件を起こした日馬富士は勿論として、成績不振の鶴竜、稀勢の里に同時引退危機迫る。日本の国技大相撲の(本当の意味の)混乱はこれからである。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


書籍紹介

コラム一覧へ

ページの先頭へ戻る