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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

1/16号

『特集:いつまで続く、FANG・MANTを中心にした快進撃』
  1. ここ2年ほどの国際都市・東京の日常風景。通勤列車に乗り込んだ途端一斉に下を向く。路上でさえも下を向いて歩く。スマホを常にチェックするためである。「皆と同じものを買い、食べ、そして生活したい」。つまりは究極の“スマホ(頼りの)”社会となった。皆と同じ情報を共有していないと怖い?そんな“歪な”世界がいつまで続くのか。
  2. こうしたスマホ社会が完成する中で、米株式の快進撃が続いている。新年早々の米株式市場ではNYダウが25,000㌦を突破した。この快進撃の中心にいるのが「FANG・MANT」の造語が出来上がった米国の大手IT企業8社とされる。
  3. 「FANG」は、フェイスブック(F)、アマゾン・ドット・コム(A)、ネットフリックス(N)、グーグルの持ち株会社アルファベット(G)。「MANT」は、マイクロソフト(M)、アップル(A)、エヌピディア(N)、テスラ(T)。
  4. この「FANG・MANT」を始めとする米IT大手は、情報技術や膨大なデータを駆使して新たな製品やサービスを生み出し、人々の生活や産業構造を大きく変えた。8社合計の時価総額は約3兆6千億㌦(約400兆円)。1年前の1.5倍に膨らんだ。メディアでは「浮かれる市場」の大文字が躍る。「次は3万ドルだっ!!」。
  5. 日足や週足は勿論、月足までもが機能しない、ひたすら上げるだけの相場。圧倒的でかつ歴史的な快進撃である。上値目標をどこに置けばいいのか。ただこうした一見「死角のない」ランダムな上昇の裏では、徐々に大きなリスクが出始める。
  6. 実体経済の規模と比較した株価の割高感も目立ち始めた。世界の株価の時価総額は過去最高の86兆5300億㌦(9800兆円)と、世界の名目国内総生産(GDP)の78兆㌦(17年推計値)の約110%の水準になった。昨年7月に世界株の時価総額がGDPの規模を超え、その差が広がり始めている。
  7. 市場全体の時価総額をGDPで割った指標は、今や伝説となりつつある著名な米投資家ウォーレン・バフェットが重要視する投資尺度として知られ、100%を超えると株価は割高とされる。08年のリーマンショックや、15年の中国・人民元ショックの直前に同指標は100%を超え、ほどなく株価は急落した。
  8. そんな相場理論なんて、信用しない、ほっとけ、との声も聞こえる。だが如何にコンピュータが進化しようと、「相場という大自然を屈服させること」はできない。調整のない相場などあり得ない。急騰すれば必ず急落する。
  9. 今年の年初から「ポストスマホ」が高らかに言われ始めた。「人間は前を向いて歩こう」から始まる「AIイヤホン=万能執事」である。スマホが登場して11年。全ての人間がスマホ生活になって、飽き始めている。「情報を享受しながら何かをしたい」との願望が出始めた。時代の変わり目である。とりあえず世界的な株高の修正は必至とみる。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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