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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

1/29号

『特集:今や平成の大きな遺産、スーパー中学生』
  1. 1月21日・日曜日。この日のTVは、スポーツ番組満載だった。野球シーズンになれば、日米の野球で、朝から晩まで野球漬けとなる日は珍しくもないが、この日は種目がバライティに富んで、まさに豪華版・幕の内弁当の様相だった。
  2. 午前10時から全日本卓球選手権、午後12時15分からは全国都道府県対抗男子駅伝、午後1時からはゴルフSMBCシンガポールオープン、午後3時:55分からはジャンプ女子ワールドカップ蔵王大会、並行して午後1時からは大相撲初場所、日付がかわって午前12時10分からはテニス全豪オープン。
  3. 全部が全部見ることなどできるわけなどないが、同日最も注目したのは全日本卓球選手権だった。つい10年前までは卓球は地味でマイナーな競技であり、テレビ東京が時たま国際中継していた程度。それが今や人気の高いメジャーな競技となった。理由は簡単である。平成10年以降に生まれた中高生が主役になったからである。
  4. 今や日本の卓球は、ここ20年、世界の王座に君臨し続けた中国を脅かす存在であり、特に高校生が中心の女子は、世界ランクトップ10の常連が3~4人いるという、昔の日本卓球を知るものにとってはまさに奇跡に近い成長を遂げている。福原愛が築いた土台に、日本全国から次々にヒロインが現れ、いまやサクラ満開寸前の様相を呈し始めた。
  5. 皆一様に3~4歳から始めており、中学生ともなると経験10年のベテランになるという、まるで異次元の世界。さすがに男子は遅れをとっているが、張本智和という、両親がともに中国・卓球選手の日本帰化という、類稀なDNAを持つスーパースターが現れた。14歳6カ月(中学2年)で日本男子の頂点に立った。まさに劇画以上の世界である。
  6. 張本智和の活躍で、所属するJOCエリートアカデミーがクローズアップされた。2000年(平成12年)スポーツ振興基本計画が策定され、2001年10月にナショナルトレーニングセンター開設、JOC(日本オリンピック委員会)が「JOCスポーツアカデミー事業」を立ち上げ、そのうちのひとつが「JOCエリートアカデミー」である。
  7. 住所は北区西が丘というから、要は昔の赤羽団地界隈。当初は海のものとも、山のものとも分からないということで、遠巻きにし、様子を見るという、いわゆる日本的なパターンとなった。ただ「Eat Well Live Well」を合言葉にする味の素が栄養管理等で協賛を始める2010年頃から、同上組織所属の選手の活躍が目立つように なった。
  8. 近代は「ゼネラリストよりはスペシャリスト」の時代。まんべんなくやる中で「昔は神童、今はただの人」のパターンが多いニッポン。才能ある者にはどんどん資本投下するスタンスが必須だろう。「JOCエリートアカデミー」は最近にない大ヒットである。
  9. 平成が終わり、新しい時代へ。不透明な部分が多いが、卓球・張本しかり、将棋の藤井聡太しかり、平成の遺産たるスーパー中学生を大事に丁寧に育むのが大きな課題だろう。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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