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■今週の市場展望

著者:青柳孝直

6/11号

『特集:銀行員はどう生きるか -金融新時代の意味-』
  1. 紙媒体の本の売れ行きがはかばかしくない。とは言え、何かヒントがないかと、暇ができれば有名書店に立ち寄ることにしている。最近、ビジネス書(新書部門)で面白い(!?)本がヒットしている。「銀行員はどう生きるか」(講談社現代新書)
  2. 現天皇の30年4月の退位が正式に決定し、平成29年は「平成の30年」を回顧する内容の記事が増えている。新年号が何になるのか知る由もないが、ミレニアムを含む平成の時代は、まさに激動の30年だった。
  3. 「稼げる者だけが生き残る」。ビジネスの基本原理が銀行経営にも持ち込まれ、「護送船団方式」と呼ばれる銀行不沈神話が完全に崩壊した。平成30年間という激動の時代の中で「銀行の使命が終わった」のは、大きな変化のひとつだった。
  4. 今から20年前の1997年11月17日、北海道拓殖銀行が破綻した。「銀行が倒産する」という、それまでの絵空事の出来事が実際に起きた。以降、大再編の2000年代へと続いていくが、日本の金融界は依然として構造調整にもがいている。
  5. 現在進行中の金融改革は『フィンテック』と呼ばれる異種のものだ。フィンテックの語源はFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。インターネット、スマホ、クラウド、ビッグデータ分析、人工知能の発達が、金融そのものを、既存の常識が通じない全く異種の物(=業種)とすべく、日々刻々変化している。
  6. モバイル市場が急拡大し続ける中の「フィンテックの時代」。電子商取引のアリババやテンセント等の新興企業が次々に現れる。モノやサービスと結んだ自動決済や、顧客データを使った新ビジネスを切り拓くための能力・資本力を潤沢に持つ企業ばかりだ。
  7. 既存の常識論をかざし依然として全国に乱立する地銀・第二地銀は断末魔の様相だ。2000年以降の推移をみると、2005年前後は経営の体力がある銀行が、不良債権に苦しむ銀行と合併・統合する“救済型”が一般的だった。しかし近年は、中堅行が人口減などによる経営環境の厳しさに危機感を募らせて結集する流れになっている。
  8. 本テーマに関して、15年超前から「現代社会において銀行の使命は終わった」といい続けてきた。止めようもない金融手法の激変の中で、金融庁主導による地銀の最終着地点は、「3大メガバンクによる全地銀の系列化」だ。
    「3大メガバンクによる日本の金融機関の整備・統合」は、「マイナンバー制度の完成」および「国民の一人一銀行口座」にもつながる。税収に悩む日本国は、日本国民の資産をガラス張りにしたいのは明白である。
  9. 金融庁の本音は「地銀の生き残りは不可能に近い」だろう。金融新時代とは「銀行を必要としない時代」を意味する。後追いの参加型手法は時間と費用の無駄だ。銀行員はどう生きるか??「新たな活躍の場を求める」しかあるまい、時代が変わったのだから。
青柳 孝直
(あおやぎ・たかなお)
【略歴】
国際金融アナリスト
1948年 富山県生まれ。
1971年 早稲田大学卒業。
世界の金融最前線で活躍。日本におけるギャン理論研究の第一人者との定評を得ている。
著書は、『新版 ギャン理論』『日本国倒産』など多数。翻訳書としては、『世界一わかりやすいプロのように投資する講座』など。

連絡先:
株式会社 青柳孝直事務所
〒107-0052
東京都港区赤坂2-10-7-603
TEL:03-5573-4858
FAX:03-5573-4857


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